ソフトバンク・ヤフーの親子上場問題

ヤフー株に「親子問題」

ヤフーの株価が下げ止まらない。きっかけは19日19時過ぎに発表した親会社ソフトバンクのデータセンター事業に対する買収だ。23日には一時2万4140円まで下げ、2003年10月の東証上場以来の最安値(株式分割考慮後)を更新した。450億円という大型買収について、市場関係者からは「親会社への資金支援ではないか」との観測も出ている。世界同時不況の中でも、ヤフーは09年3月期の純利益が過去最高を更新する見通し。懸念されていた「親子問題」が株価の重しとなってきた。
(日経ヴェリタス2009年3月1日21面)

【CFOならこう読む】

記事では、こ株式譲渡は、CB500億円の繰上償還発生の可能性に伴うソフトバンクの資金需要のために行われたものという見方を紹介しています。

ここまで書いたところで次のニュースが飛び込んできました。

ソフトバンク、CB500億円繰上償還、全保有者が請求権使う。
ソフトバンクは2015年3月末に満期を迎える500億円の転換社債型新株予約権付社債(CB)を繰り上げ償還する見通しだ。発行条件に繰り上げ条項があり、金融危機などを背景にCBの保有者全員がその権利を行使するようだ。ソフトバンクは手元資金で対応し、有利子負債の圧縮につなげるとみられる。
NIKKEI NET2009年3月2日

どうやら記事の見立ては正しいようです。
ヤフーの余剰キャッシュは、ヤフーの価値創造のために投資されることを期待して株主価値の一部を構成しているのに、それを親会社が費消するということになれば、その部分は株主価値から吹き飛びます。

【4689】ヤフー(株)

【4689】ヤフー(株)

ソフトバンクは、「グーグルを追撃するには、ヤフーがデータセンター事業を持って内製化し、将来の展開に備える必要がある。主要子会社であるヤフーの企業価値を上げることは重要。」と説明しています。

内製化のためのグループ再編であるなら、合併させれば良いのに、と私は思います。

ところで、譲渡代金450億円の内訳は、

「被買収企業の純資産評価額180億円、のれん代60億円、買収によって引き継ぐ税務上の繰越欠損金210億円」                                             (前掲紙)

ということです。

要するに、繰越欠損金をキャッシュに変えるために行われたディールなんですね。

【リンク】

2009年2月19日「次世代インターネット事業の戦略的基盤構築に向けた当社子会社株式のヤフー株式会社への譲渡について」ソフトバンク株式会社