バフェット氏、日本買い宣言

初来日の前週に突然、米IBM株に100億ドルを投じたことを公表したウォーレン・バフェット氏。氏が率いるバークシャー・ハザウェイは今や、IBMの発行済株式の5.5%を保有する大株主だという。欧州危機や米景気の先行き懸念で米株式相場も下落するなか、逆張りで株式投資を続けていたことが明らかになった。IBM株への投資を決めた舞台裏、日本での投資の可能性・・・。投資の神様は日経ヴェリタスに大いに語った。
(日経ヴェリタス2011年11月27日2面)

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2011年11月22日の当ブログのエントリー(「バフェット氏、『日本投資魅力薄れず』」)で示した疑問のいくつかに、インタビュー記事の中でバフェット氏は答えています。

−自分が事業内容を理解できないハイテク株には投資しない方針をいつも口にしていました。いまなぜ突然、その投資哲学を変えてIBM株に投資したのですか。
「これから5年、10年後のIBMの収益力を見通せるくらいに、IBMのことを理解できたと感じたのです。もっと早く分かればよかったのですが、投資するのが遅かったとはいえ、全くしないよりはいいでしょう。

IBMは賢明な財務戦略をとっており、顧客基盤もしっかりしている点にも注目しました。そして、われわれがIBM株をたくさん買っている時の株価はお買い得な水準だったので、大量の資金をつぎ込んだのです」(前掲紙)

IBMの賢明な財務戦略とは何でしょう?
2010年度のアニュアルレポートを見てみると、Total liabilities and equity $113,452milのうち

Short-term debt $6,778mil
Long-term debt $21,846mil

と有利子負債比率が比較的低いこと、及び自己株式が$96,161milと大きな水準になっていること、さらに一方、Cash and cash equivalentsは$10,661と無駄にキャッシュを積み上げてはいないこと、に気付きます。

「ただ、われわれが本当にやりたいのは、日本で大きな会社を買収することです。(敵対的な買収をするつもりはないので)会社を買って欲しいという話がくるのを待っているのですが、まだ現実のものになっていません。しかし、もし日本の大企業からあす電話をもらって、バークシャーに買収して欲しいという申し入れがあれば、飛行機に乗ってすぐ駆けつけますよ」(前掲紙)

賢明な財務戦略をとり、しっかりとした顧客基盤を持ち、5年後10年後の収益力を見通せる日本の大会社さんで、大口の安定株主が欲しいところがありましたら、バフェット氏に至急ご連絡ください。すぐに自家用飛行機で駆けつけてくれるそうです。

【リンク】

「Annual Preport 2010」 IBM [PDF]