法人税率引き下げにより損益一時的に押し下げ

法人税引き下げを受け、上場企業による2012年3月期の業績見通しの下方修正が相次いでいる。将来の税負担軽減を見込んで計上している「繰延税金資産」を税率の変更に伴い見直す必要があるためだ。増益を予想していたユニ・チャームが15日、減益見通しを発表するなど、一時的な最終損益の押し下げ要因になっている。
(日本経済新聞2011年12月15日15面)

【CFOならこう読む】

「現在40.69%の法人税の実効税率は来年4月以降、38.01%、15年度からは35.64%となる。従来の税率を前提に計上していた企業は、繰延税金資産の一部を今期決算から取り崩す必要がある」(前掲紙)

本件については、今年2月7日のエントリーで取り上げました。

2011年2月7日「メガ銀、法人減税が年度内成立なら600~900億円の減」

具体的な取扱いは以下の通りです。

「◯税効果会計に係る会計基準
第二.二.繰延税金資産及び繰延税金負債等の計上方法
2.繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払いが行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとする。

◯税効果会計に係る会計基準注解
注6 税率の変更があった場合の取扱いについて
法人税等について税率の変更があった場合には、過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債を新たな税率に基づき再計算するものとする。」

繰越欠損金の繰越控除制限(相殺できる課税所得を8割に制限)も繰延税金資産取り崩しの要因になり得るので注意が必要です。

【リンク】

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