自社株買いの意義 − バフェットの手紙より

米著名投資家ウォーレン・バフェット(81)が2月25日、毎年恒例の「手紙」を公表した。自ら経営トップを務める投資会社バークシャー・ハザウェイの株主にあてたものだ。今年もバフェット独特のユーモアがあふれるなか、投資に関する鋭い洞察がちりばめられている。
(日経ヴェリタス2012年3月4日13面)

【CFOならこう読む】

株価が上がると損?!

「IBMの株価が今後5年はさえないことを、われわれは願うべきです。理由は簡単。これから株式を買い増すつもりなら、株価が上がると損です。将来、自分のお金で株式を直接買うにしろ、(投資先の企業が自社株買いをすることで)間接的に株式を買う場合でも同じです。将来も買うつもりなら、株価が下がったほうが得です。
株式をこれから買う予定の人も含め、ほとんどの人は株価が上がると安心します。これは、自家用車で通勤している人が、車の燃料タンクにはその日に必要なガソリンしかないのに、ガソリンの値上がりを喜ぶようなものです」(バフェットの手紙より 前掲紙)

長期投資を志向する投資家にとっては、長期的に安定配当が得られることが重要です。さらに投資先が自社株買いを実行すれば、既存株主の出資比率が上がります(これをバフェットは間接的に株式を買うと表現しています)。

株式を買い増すにしても、自社株買いを行うにしても株価が低い方が望ましいということです。

だからといってCFOとしては株価を上げないことを是とする必要はありませんが、しかし、企業が自社株買いを行うのと株主が株式を買い増すのは、株主にとっては同等の意味があることを理解しておく必要があると思います。

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