国際再編と外国人社長

「我々に力がなかった」。武田薬品工業の長谷川閑史社長は率直に非を認める。同社は英製薬大手グラクソ・スミスクライン出身のクリストフ・ウェバー氏を初の外国人社長に招くことを決めた。創業200年を超す老舗企業が異例の人事に踏み切った背景にあるのは、M&A(合併・買収)の不調だ。

(日本経済新聞2014年1月10日13ページ )

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「武田は2011年、スイス製薬大手ナイコメッドを約1兆1170億円で買収。同社の欧州や新興国のルートで武田の医薬品を販売してもらうことなどで年300億円の相乗効果を見込んだ。社長候補と目されるエース級人材も投入した。

だが壁は厚かった。販売部門を制御しきれず経費も減らなかった。2800人の人員削減も未達で武田の13年3月期は大幅な営業減益だった。買収効果があれば内部昇格の順当な社長人事だったかもしれない。」(前掲紙)

日本企業のグローバル化の深化に伴い、外国人社長が増えていくのは必然であると思います。良い経営者を招聘するためには、報酬体系も世界の潮流に合わせていかざるを得ません。エクイティ報酬もより一般的なものになるでしょう。

事実武田薬品の場合、3人の取締役に対する株価連動型報酬の費用計上額は1,520百万円に達し、通期業績を下方修正する一因となりました(2013年11月19日「武田薬品の株価連動型役員報酬」)。

しかしこの分野を支える日本の会社法、税法、会計といったインフラは未整備であり、例えば譲渡制限株式を報酬として付与することが出来ず、わざわざ1円ストックオプションを発行するという事例が増えています。

早期の改善が求められます。

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