サイバーダイン、議決権10倍の種類株を活用

東京証券取引所は19日、筑波大学発のロボットベンチャー、サイバーダイン(茨城県つくば市)の東証マザーズ上場を承認したと発表した。上場は3月26日。
(日本経済新聞2014年2月20日9ページ )

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「上場株式の10倍の議決権がある種類株を経営者が持ち、上場後も実質的に支配権を握る仕組みをとる。こうした種類株を使った新規上場はグーグルやフェイスブックなど米IT(情報技術)企業に多いが、日本では初めて。」(前掲紙)

普通株式の単元株式数は100株、B種類株式の単元株式数は10株とし、B種株式は創業者で社長の山海氏と一般財団法人山海科学技術振興財団及び一般財団法人山海健康財団が保有するスキームになっています。山海社長は上場後も9割の議決権を保有することになります。

種類株式を活用する理由を有価証券届出書において会社は次のように説明しています。

「普通株式及びB種類株式について異なる単元株式数を定めているのは、当社の議決権を山海嘉之及び本財団法人に集中させることにより、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止することにあります。
また、当社グループの将来ビジョンである、少子高齢化という社会が直面する課題を解決しつつ、人支援産業という新しい産業分野を開拓するためには、サイバニクス技術の研究開発と事業経営を一貫して推進する必要があります。山海嘉之は、このサイバニクス技術を創出し、現在もサイバニクス研究の中心的な存在であり、更にその革新的な技術を社会に還元するための事業推進者でもあります。このため、当社グループの企業価値向上(株主共同利益)には、当面の間、山海嘉之が経営に安定して関与し続けることが必要であると考えており、これを実現可能とするため、本スキームを採用しております。」(前掲紙)

平和的な目的での利用を確保し、人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止するのは、企業として当然のことではありますが、これを担保するのは究極的には国家の役割であると考えます。種類株式を活用し上場すること自体は否定されるべきではありませんが、ガバナンスが有効に機能するかどうかも含め注視する必要がありますし、市場の株価形成も注目されます。

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