グーグル、海外での実効税率2.4%

オンライン検索の米 グーグルは、海外利益の大半をアイルランドとオランダの子会社経由でバミューダへ移転させる会計手法を利用し、過去3年間で31億ドルの税金を節減していたことが分かった。
2010年10月21日「グーグルの税率2.4%はアイルランド仕込みのダッチ・サンドイッチ」Bloomberg

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ブルームバーグの全文記事はこちらで読めます。
「Google 2.4% Rate Shows How $60 Billion Lost to Tax Loopholes」Bloomberg

グーグルの場合、米国外で稼ぐ広告収入125億ドルのうちほぼ9割がアイルランドの子会社の売上になります。この所得のほとんどは、IPを所有するバミューダの会社(法的にはアイルランド法人)にロイヤルティーという形で流れます。この結果アイルランド子会社の利益率は1%になります。

ただし直接バミューダにロイヤルティーを支払うと多額の源泉税が課されるので、オランダのペーパーカンパニーを間に挟みます。これによりEU域内のロイヤルティーの支払いなのでアイルランドでは源泉税が課されません。

所得がアイルランド法人からアイルランド法人に戻るので、「ダブル・アイリッシュ」、間にオランダ法人が挟まれるので「ダッチ・サンド」と言われる普通に行われている手法で、フェイスブックもマイクロソフトも似たようなことをしているとしていると記事には書かれています。

スキームについては、ビジネスウィークがわかりやすく図解しています。

記事には移転価格税制との関連についても触れられていてそれはそれで興味深いのですが、それよりも私は記事の中で紹介されている次の専門家のコメントに目がいきました。

“A company’s obligation to its shareholders is to try to minimize its taxes and all costs, but to do so legally,”

グーグルの手法はもちろん合法的なものです。合法的な手法を駆使してタックスコストを最小化する責務が経営者にあると言っているのです。

こういう感覚が日本の上場会社の経営者にどれだけあるでしょうか?
日本の経営者はタックスコストをコストと見る意識が希薄であるように私は感じています。

もしそうであるなら法人税率を引き下げても、即それが日本の会社の国際競争力を高めることに繋がらないように私は思います。

【リンク】

2010年10月21日「Google 2.4% Rate Shows How $60 Billion Lost to Tax Loopholes」Bloomberg
2010年10月21日「グーグルの税率2.4%はアイルランド仕込みのダッチ・サンドイッチ」Bloomberg
「Inside google’s $1 Billion-a-Year Tax Cutting Strategy」